この記事では、
・「セミリンガル・ダブルリミテッド」とは何なのか知りたい。
・おうち英語で「セミリンガル」になってしまわないか心配。
・「セミリンガル」になるのを避ける方法が知りたい。
という方のために、
について、100以上の英語育児に関する書籍やブログ・SNSの事例を元に解説します!
この記事を読むことで、
- 「セミリンガル」とは何かが分かる。
- おうち英語で「セミリンガル」になる可能性はほぼない事が理解できる。
- 幼児期のおうち英語を進める際の注意点が分かる。
ようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
元世界一周バックパッカーの理系・共働き夫婦。
TOEIC900超。海外渡航80ヵ国超。絵本所有2000冊超。年間読書数100冊超。
100以上の事例を徹底リサーチして「おうち英語」スタート。開始数ヶ月で発語し、着実にバイリンガルに育ちつつある二人娘と、英語のある生活を楽しんでいます♪
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セミリンガル・ダブルリミテッドとは?
おうち英語について調べていると、「セミリンガル」という単語を見かけることがあります。
「セミリンガル」とは、バイリンガルと同じく2つ以上の言語を習得してはいるが、それぞれの言語において完全な言語能力を持っていない状態を言います。
第一言語を喪失し、第二言語の習得もうまくいかなかった場合、どちらの言語もうまく扱えないバイリンガルになる可能性が高い。第二言語習得をすることが第一言語喪失につながるわけではなく、第一言語が未修得の段階で、急激に第二言語に接触してしまうところに問題がある。
マルチリンガル教育への招待/中島和子(著)
上記のように、第一言語が未熟な状態で、第二言語のインプットが過剰となる特殊な環境下で起こり得ると言われています。
その他にも「ダブルリミテッド」という言葉がありますが、これはセミリンガルと同様の意味で使われる事が多いようです。
この後に解説しますが、家庭で英語育児を行う場合は、上記で言われているような「特殊な環境」になっていないかに注意しておく必要があります。
セミリンガルという言葉を使用する際の注意
なお、「セミリンガル」や「ダブルリミッテッド」という言葉は、前述の通りネガティブなイメージが強く、国際社会では差別用語と捉えられる場合があるので使用時には注意が必要です。
セミリンガルは定義が曖昧で、どちらかというと言語獲得に関わる障害、教育機会の確保失敗、及び経済格差の背景が重なって発生する「結果」だとしか言えません。そのため、アカデミアでは発表当初から非難が相ぎ、いまでは「差別的で不適切」「ダーティワード」「すでに不利な立場にいる人たちをさらにラベリングする」と認識され、気軽に口にすることができないような概念。
世界標準の英語の学び方/白川寧々、鈴木款(著)
セミリンガルということばが世界的に見てその使用範囲が狭まりつつあるのに対して、日本ではかなり気軽に使われ、いよいよ広まる傾向がある。
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
おうち英語で「セミリンガルになる可能性」はほぼない!
まず始めに解説しておきたいのが、
日本国内で、日本語を話す親が「おうち英語」をしている限り、セミリンガルになる可能性はほぼない!
という事です。
これは多くの英語育児書や、第2言語習得に関する研究などで共通して言われています。
日常的に日本語しか使わない日本で、毎日数時間の英語教育を行ったからといって、日本語がおかしくなるという事態はまず起こりません。両親がごく普通に日本語で話しかけ、日本語の読み聞かせを実践し、日本語のメディアに触れさせ、周囲の子どもたちと遊ぶ環境を与えていれば、子どもは自然に日本語を身につけます。
世界で活躍する子の英語力の育て方/船津徹(著)
世界標準の英語の学び方/白川寧々、鈴木款(著)
- バイリンガル教育が子どもの言語発達を遅らせるエビデンスはいまのところ存在しません。
- セミリンガルの起源は、北欧の貧しい季節労働者の子どもたちが移住先で第二言語の学校教育に馴染めず、いずれの言語でも読み書きや文法の理解が不十分なまま学校教育期間を終える社会問題にあり(・・中略・・)そもそも未就学児の親がバイリンガル教育をすることとまったく関係がありません。
また、おうち英語やバイリンガル育児をやっている中で、「自分の子供がセミリンガルなのではないか?」と心配しすぎる必要もないようです。
2言語の発達途上で起こるある一性期の現象を問題にして、バイリンガルではなく、セミリンガル(両方のことばのが低い)であるなどと決めつけてしまってはいけない。
この意味で、子どものバイリンガルは常に2つのことばの力を流動的に捉えて、長い目で見る必要がある。
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
セミリンガルにならないためには、どうしたらいいのか?
前述の通り、日本国内で、日本語を話す親が普通に「おうち英語」をしている限り、セミリンガルになる可能性はほぼありません。
しかし逆に、子どもを極端な状況においてしまうと、母語の発達に影響が出る可能性があります。
日本語がおかしくなる可能性があるとすれば、極端な英語環境に、言葉が発展途上の子どもを浸す場合です。たとえば、両親が日本人なのに英語だけで話しかけたり、朝から晩まで英語メディアを見せて英語漬けにしたり、英語ネイティブのベビーシッターに1日中預けたり、英語オンリーのプリスクールに長時間預けたりするケース。
また、海外赴任中の人は、この機会に子どもをバイリンガルにさせようと焦り、現地のプリスクールや習い事に通わせるなど日本語に触れる時間が極端に少なくなる場合があります。
世界で活躍する子の英語力の育て方/船津徹(著)
国内にいても親が外国語に熱心すぎるあまり、海外にいるのと同じような状況を親の手で人為的につくり出すことがある。これも要注意である。
(中略)あまり熱心すぎると、母語の発達を脅かすことになりかねない。何ごとも度を過ぎるのは禁物である。
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
このように、母語が未発達な子どもを強い英語環境に置いてしまうと、日本語のインプットが不足して発達が悪くなる可能性が出てきます。
セミリンガルが育つ理由
言語能力には「日常会話能力」と「認知能力」と呼ばれる2つの能力があります。
ここでポイントとなるは、それぞれの能力を習得するのに必要な時間です。
「日常会話能力」が1〜2年で習得できるのに対し、「認知能力」の習得には6〜10年もかかります。
そのため、英語と日本語で「日常会話能力」は習得できていても、「認知能力」が停滞してしまうと「両言語がともに未習熟な状態」が起こり得るのです。
セミリンガルにならないために必要なのは、まず日本語の読書力。
他の記事でも「日本語の読書力」が英語育児において重要な理由について解説していますが、実はこれがセミリンガルになるのを防ぐ対策にもなります。
バイリンガルになるためのいちばん大きな決め手となるのは、子どもの母語、母文化がどのぐらい育つかということである。
(中略)母語には万金の重みがあり、その重要性はいくら強調してもし足りない。
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
前述の通り習得に時間のかかる「認知能力」ですが、実は「読書力」には「認知能力」を高める働きがあります。
そこで、積極的に「読書力」を高めることで、「認知能力」を停滞させることなく着実に向上させることができるようになるのと考えられます。
日本語の「認知能力」が先に発達する
また、日本で英語教育を行う場合、ほとんどの場合が日本語優位で育ち、日本語の「認知能力」の方が先に発達します。
ですので、確実に身につけられる日本語の「認知能力」をしっかりと高めておくことで、英語の「認知能力」の安定した向上も期待することができます。
外国語の習得に成功するかどうかは、ある程度母語の成熟度にかかっている。
子どもはすでに持っている意味体系を新しい言語に移行することができる。その逆も確かで、外国語の力は母語の高度の習得を助ける。(Vygotsky 1962:110)
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
「認知能力」は外から見ても分かりにくいですが、「読書力」であれば家庭内の様子で確認できます。
失敗しない。幼児期のおうち英語の進め方
ここからは、これまでに紹介した注意点を踏まえた「おうち英語」の進め方について解説します。
メディア視聴による悪影響について
まず幼児期、特に1歳半ごろまでの子供については、メディア視聴による悪影響が生じるリスクがありますので注意が必要です。
具体的には「かけ流し」や「動画視聴」によるもので、こちらの記事で詳細に解説していますので参考にしてみてください。
日本語での語りかけを積極的に行う
また、おうち英語をしていても、日本語での語りかけは積極的に行うようにして下さい。
もし「英語での語りかけ」を実践している場合は、両親の片方だけ英語で話すようにして、一人は常に日本語で話しかける方法で、日本語のインプットを確保しましょう。
バイリンガルの基礎づくりでいちばん大事な家庭の役割は、第2、第3のことばの基礎になる母語、すなわち第1のことば(LI)をしっかり育てることである。一般にモノリンガルにとっても、母語はもちろん大切であるが、バイリンガルを育てるとなると、母語が持つ意味合いが、何倍にも増すし、またその意味範囲がぐっと広がる。
バイリンガル教育の方法/中島和子(著)
日本語での語りかけについては、こちらの記事でオススメの育児本を紹介していますので参考にしてみて下さい。
開始年齢別:おうち英語の進め方&ロードマップ
各年齢ごとの「おうち英語の詳しい進め方」はこちらの記事で解説していますので、参考にしてみてください。
100以上の事例から分かった
「成功する」おうち英語の進め方
みなさんは「最近、英語が話せる子供が増えてきた」と感じることはありませんか?
英語がペラペラなのに、日本生まれ日本育ちで、インターナショナルスクールにも入っていない。
世の中では、そんな「おうち英語キッズ」たちが急増しています。
でも、そんな様子を目の当たりにして、
英語ができるに越したことはないけど、
育児に追われて時間もないし、物価高でお金もない。
と、諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。
私たちも当初は同じように考えていました。
ですが、英語育児に関する100以上の文献や事例を調べてみて驚きました。
なぜなら、
お金や時間をかけなくても、誰でも家庭学習だけで英語を習得できる
という事が分かってきたからです。
このブログでは、私たちのリサーチ結果を元にした「おうち英語の進め方」についても解説していますので、気になる方は下の記事を読んでみて下さい。